補聴器などのヒアリングソリューションのグローバルリーダーであるソノヴァは、旧来型のシステムや紙ベースのTMF、eQMSにも分散した文書が障壁となり、スピーディな臨床試験が制約されていました。
ソノヴァは臨床開発プロセスの包括的なチェンジマネジメント戦略を策定し、Compliant by Design(システムの設計段階から法令遵守要件を組み込み、システムそのものにルールが守られる前提がある状態にするアプローチ)のビジョンを実現するためにVeeva eTMFを導入しました。
この変革の当初の目標は、紙ベースのソリューションから脱却し、文書が集約されたeTMFに移行し、それによってガバナンスを強化し、プロセスが改善され、生まれ変わった臨床開発部を支えることでした。
ソノヴァのクリニカルアフェアーズマネージャーであるDian Liu氏は、新たなソリューションの導入と再編した新組織の活用を同時に進め、スリムで効率的なオペレーションの達成、いつでも監査を受け入れられる体制の確立、そして堅牢な臨床エビデンスの確保を目指す多面的な戦略を打ち出しました。
コンプライアント・バイ・デザインの実現
eTMF導入前、ソノヴァは必須のスタディドキュメント一覧(82項目)を管理していました。この文書一覧は維持に多大な手作業を要し、過去の臨床試験からデータを検索・取得することが難しい状況でした。
迅速な製品上市タイムラインを優先するため、詳細な文書や市販前の確認試験を最小限にとどめたうえで新製品を市場投入する必要がありました。
Veeva eTMF を導入し、プロセスを合理化することで、Sonova はドキュメント管理の実務を改善しました。その結果、手作業の管理を要する文書一覧を廃止し、世界中の臨床試験の全体を一元的に管理し、より厳格な文書のレビューおよび承認プロセスを導入できました。
Liu 氏は次のように述べています。「全社標準で使用するソリューションとして導入された eTMFにより、コンプライアンスをさらに高い次元へと進化させることの一助となりました。しかし、スタディマネージャーがより効率的に試験を運営できるよう、明確なシステムのコンフィギュレーション(試験の標準化を可能とする設定)の策定に加え、役割や試験に応じた詳細なアクセス権を設ける必要がありました。」
重要なのは、ソノヴァの業務ニーズに合わせてシステムの標準設定(ベースライン)と初期構成を確立することでした。その上で、誰がどの試験にアクセスできるのか、また各試験内でどのドキュメントを閲覧・編集できるのかといった権限管理を明確に定義しました。
スタディマネージャーは、特定のドキュメントを管理対象から外す場合、自ら事前にその理由を説明し、妥当性を示すことが求められます。こうした仕組みを導入したことで、『誰が何をしているか』、そして『書類がどう扱われているか』が誰の目にも明快になりました。
コンプライアンス向上の鍵を握る「臨床オペレーション」の強化
Veeva eTMFの導入に加え、ソノヴァ社は「臨床オペレーション」の専門チームを新設し、聴覚研究者が治験業務を円滑に進められる体制を整えました。
Liu氏は、専門スタッフの重要性について次のように述べています。「プロジェクト管理やTMF管理、ステークホルダーとの調整を通じてスタディマネージャーを支援するため、臨床オペレーション職を導入しました。彼らをプロジェクトのコアチームに加えることで、社内に確かな知見を蓄積し、その専門性を組織全体に浸透させることができました。」
このチームの存在は、研究者たちのスキル底上げに決定的な役割を果たしました。また、体制整備と並行して、新しい業務プロセスやVeeva eTMFを確実に定着させるための包括的なトレーニングプログラムも開発されました。
トレーニングにおいてソノヴァ社が特に留意したのは、情報の詰め込みすぎを避け、一貫性のある「消化しやすい」内容にすることです。これにより、各メンバーが自身の役割に応じた適切なトレーニングを受けられるようになりました。
トレーニングの目的は、システムの全機能を網羅することではなく、まずは「共通言語」を確立することに置かれました。内容は実践的なハンズオン形式に特化し、臨床試験への関与度別に以下の3段階で構成されています。
- 基礎モジュール(30分): 全閲覧者が対象
- 応用モジュール1(60分): ドキュメント作成者が対象
- 応用モジュール2(60分): 全スタディマネージャーが対象
ガバナンスの導入による監督機能と継続的改善
ソノヴァは、トレーニングや業務プロセスが形骸化せず、チームが主体的に改善を続けられるよう、包括的なガバナンスモデルも構築されました。
Liu氏は次のように述べています。「Veeva eTMF内のパーソナライズされたダッシュボードを活用し、月例のコアチーム会議で状況を確認することで、ガバナンスを強化しています。このダッシュボードでは、文書の網羅性、適時性、未解決の品質課題といった主要指標(KPI)を追跡しています。」
こうした監督体制と透明性の向上により、具体的な課題への対処や混乱の解消が迅速化されました。現場のフィードバックと客観的なデータに基づき、治験業務の継続的な改善が可能になったのです。
テクノロジー、教育、ガバナンスの相乗効果が、コンプライアンスの維持とデータに基づく意思決定を支えています。
強固な臨床エビデンスの構築に向けて
Liu氏は、卓越したオペレーションと監査対応力、さらには堅牢な臨床エビデンスの確立を実現するための、他の医療機器メーカーにも参考になり得る、4つの教訓を共有しています。
- 部門横断的な連携: 導入の初期段階から、関連部門の主要な関係者を巻き込むこと。
- 現場人材の専門性の育成: スタディマネージャーが十分なサポートを受け、主体的に取り組めるよう、人員と教育のリソースを確保すること。
- ガバナンスの確立: 専門チームによる監督と透明性を優先し、KPIやユーザーの声をもとに改善を繰り返すこと。
- 土台作りから始める: 最初から完璧を目指すのではなく、小さな改善を積み重ね、進化し続けるシステムを構築すること。
ソノヴァ社は「教育・ガバナンス・テクノロジー」という柱を立てることで、「Compliant by Design(設計によるコンプライアンスの組み込み)」というビジョンの実現に成功裏に着手しました。この基盤により、レポート機能の強化や検査への即応体制が整い、臨床における卓越性の追求が可能となっています。
同社は今後も、システム機能とプロセスのさらなる向上に注力し、より強固な臨床エビデンス創出戦略と、未来を見据えた成功指標の確立を目指していきます。
医療機器企業における eTMF 活用やデジタルトランスフォーメーションについては、Veeva Japanまでお問い合わせください。