Veeva:パブリック・ベネフィット・コーポレーション

“当社は、社会的利益と経済的利益が密接に関連すると考えており、お客様、従業員、地域社会にとって正しい行動をとることが、ひいては投資家にとって最良の結果をもたらすことができるという、長期的な視点に立って常に活動しています。”

Peter Gassner
Veeva Systems創業者兼CEO

パブリック・ベネフィット・コーポレーションとしての事業運営

当社はパブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)として、「正しいことをする」「お客様の成功」「従業員の成功」「スピード」というコアバリューにより、健康増進と延命に貢献するライフサイエンス企業を支援し、当社の従業員と地域社会に利益をもたらす質の高い雇用機会を創出することを目指していきます。

当社のPBCコミットメント

当社は企業として利益を追求するだけでなく、PBCとして公益を提供することを目的としています。(こちらは当社の会社憲章であり、株主の投票によってのみ変更が可能です。)株主への財務的なリターンにとどまらず、社会的利益を提供することを目指します。当社が考える公益目的は次の通りです。

サービス提供業界のさらなる生産性向上を支援し、当社が活動する地域社会で質の高い雇用機会を創出することを目的とした製品・サービスを提供すること。

同様に重要なこととして、当社の取締役はPBCとして、株主の利益と、お客様、従業員、その他の主要なステークホルダーの利益とのバランスをとる法的責任を負っています。

なぜPBCなのか?

PBCとして活動することは、当社の長期的ビジョンとバリューに合致しています。

  • ビジョン:ライフサイエンス業界のクラウドを構築すること
  • バリュー:正しいことをする、お客様の成功、従業員の成功、スピード

当社の目標は、ライフサイエンス業界にとって最も戦略的な技術パートナーになることです。PBCとしての構想と目的は、ライフサイエンス業界と連携し、健康増進と延命という業界の広範な使命をサポートすることで、将来においてもその役割を確実に担い続けることです。

また、当社はマルチステークホルダー・アプローチを強く信じています。Veevaの歴史を通じて、お客様、従業員、パートナー、そして地域社会と常に手を携え、意思決定を行ってきました。意義のある成功を収め、市場におけるリーダーシップを長期にわたり維持するためには、企業は主要なステークホルダーの利益バランスを取る必要があると考えています。

公益を追求し、重要なステークホルダーの利益を考慮することで、事業をより永続的に発展させ、お客様、従業員、求職者、パートナー、そして事業を行う地域社会との関係を強化すると考えています。従業員が幸せに働き、パートナーが協力し合い価値を高め、そしてお客様が生産性を向上させ、長期的なパートナーとして安心できるようになれば、結果的に株主は利益を得ることができます。

当社のPBC目標

当社の取締役会は、PBCの目的を追求するために、目標を設定しています。この目標は、当社のビジネスや、サービス提供業界との関係が進化するにつれて、時間の経過とともに変化する可能性があります。PBCの目標および進捗の詳細については、PBC報告書をご覧ください

  • 患者様の負担が少なく、さらに利用しやすい、より迅速で安価な臨床試験を可能にする
  • お客様の選択をサポートし、ライフサイエンス業界の競争障壁を取り除く
  • 質の高い雇用機会の創出—2025年までに10,000人の従業員を雇用する
  • 2030年までに、米国における雇用条件としての競業避止義務の撤廃を提唱する

PBCの目標に即した報告

当社はPBCとしての義務により、毎年、報告書を公開しています。コミットメントを文書化し明確に伝えることにより、透明性を確保し、これを公式化することに価値があると信じています。PBC報告書は、PBCの構想が当社のビジョンとバリューをどのように反映しているか、また、当社が重要な意思決定を行う際に、公益目的およびマルチステークホルダーに対する義務をどのように追求しているかを説明しています。

その他のリソース

ビジョン:ライフサイエンス業界のためのクラウド構築
当社はクラウド技術、データ、技術的サービス、ビジネスコンサルティング、パートナー同士のネットワークに焦点をあて、⁠グローバルに展開するライフサイエンス業界のさらなる効率化と能力向上を支援致します。ライフサイエンス業界にとって必要不可欠な存在となり、評価されることを目指しています。

バリュー

  1. 正しいことをする
  2. お客様の成功
  3. 従業員の成功
  4. スピード

優先させるバリューの順位は、上記の通り1~4です。

正しいことをする
私たちは、正直で、真っすぐであり、そして謙虚な、いい人であることを誇りにしています。うそをつかず、ごまかさず、盗みを働きません。私たちは、自分がされて嬉しいように相手に接し、個々を尊重します。過剰なルールよりも常識を信じます。私たちは、お客様、従業員、サービスを提供している業界、そして株主を考慮して決断を下します。Veevaはお金がすべての企業ではありません。

お客様の成功
お客様の成功には3つの分野があります。1つ目は、私たちの製品やサービスを提供している企業の人々についてです。お客様にはVeevaの製品を利用することや従業員と一緒に働くことを楽しんでいただかなくてはなりません。お客様の成功の必要に応じて、私たちVeevaは努力をいとわないです。2つ目は、企業についてです。当社の製品とサービスは、短期的にも長期的にもプラスのROI(投下資本利益率)をもたらすものでなければなりません。そして3つ目は、私たちが製品やサービスを提供する業界についてです。Veevaの製品とサービスにより、業界のさらなる効率性、革新性、能力向上をもたらし、業界にプラスの影響を与えるものでなければなりません。私たちは、長期的に業界の優れた戦略的パートナーになるよう努めています。

従業員の成功
Veevaは、当社の従業員たちが最高のパフォーマンスで仕事ができ、チームワークを大切にする素晴らしい人々に囲まれて働くことができる場所でなければいけません。従業員は敬意を持たれ、成長とエクセレンスのために効果的に自身の船のかじ取りとなり、適切な支援を受けるべきです。私たちは、雇用する従業員に対して十分に注意を払い、うまくいかないときは行動を起こします。可能性に基づいて社内での昇進を進めます。貢献度に応じて公平に報酬を支払います。

スピード
私たちが物事に取り組む際は、迅速にそして正確に行い、最善を尽くさなければなりません。重要なことは、明日ではなくその日中に終わらさなければなりません。成長とともにスピード、機敏さ、イノベーションを維持するためには、意思決定をオペレーションにまで押し下げなければなりません。私たちは企業が成長するにつれて、そのスピードが落ちることを理解していますが、それに抗います。私たちは失敗を恐れず、そこから学びを得ます。失敗を恐れる企業はスピードもリスクもなく、利益を見込むことができません。


当社の現在の事業運営と将来の成長は、多様なスキルや人生経験を持つ従業員が共通のビジョン、バリュー、働き方を携え、ともに懸命に働くことに意味があります。従業員にとって魅力的な会社であり続けるために、当社では他社に負けない報酬と福利厚生を提供します。さらに、従業員の健康のために総合的なアプローチを行い、各自が選んだ健康目標に集中できるように身体的、かつ精神的な健康プログラムやリソースへのアクセスを提供しています。しかし、報酬や福利厚生がすべてではありません。差別化され得ると信じるいくつかのVeeva独自の慣行も採用しています。

  • ビジョンとバリューに焦点を当てる。当社は、ライフサイエンス業界向けクラウドの構築という共通のビジョンと、一連のコアバリュー、「正しいことをする」「お客様の成功」「従業員の成功」「スピード」に沿って行動します。これらのビジョンとバリューを表明し、これを中心軸として意思決定がなされています。私たちはこのことを一人ひとりが意識しています。当社では、取締役会の各会合や大規模な社員会議など、すべての重要な会議の冒頭で、このビジョンとバリューを再確認しています。従業員は、当社が何を成し遂げようとしているのか、そしてそこにどうやってたどり着くのか、その道筋を示すバリューを熟知し理解しています。
  • 幅広い株式所有。多くの企業は、成熟するにつれて、会社の株式発行をより狭い範囲の従業員のグループに限定していきますが、当社はその反対を行ってきました。2023年度には、従業員の93%が自社株を取得しました。これは、オーナーとしての意識を創造させ、従業員にモチベーションと報酬を与えながら、チーム第一主義の企業文化の創造に役立つと信じているからです。当社は通常、制限付きストックユニット(権利確定時に即時に従業員に代価をもたらす)とストックオプション(株主に対して代価を生み出した時にのみ従業員にも代価をもたらす)の両方を付与しています。
  • どこでも働けること。当社では「どこでも働ける」というポリシーも採用しています。従業員の働き方には柔軟性を与えており、特定の職務では制限がありますが、オフィスでも自宅でも働くことができます。当社のポリシーでは、従業員が希望すれば個人または家族のニーズに合わせて、より適した場所に職場を移すことも可能です。「どこでも働ける」というポリシーにより、それぞれ従業員の状況に合わせて住む場所を自由に決定できる権利を与え、結果的に人材のプールを拡大することができると考えています。また、遠方の従業員が二級市民のように扱われることなく、本社で働く従業員と同じように影響力、貢献、キャリアアップの機会を得られるような措置をとっています。
  • 1%のVeeva寄付プログラム。当社は、寄付は個人的なものであり、個人の意志によって行われるべきだと考えているため、慈善活動への支援はすべて従業員が行っています。1%のVeeva寄付プログラムでは、各従業員から基本給の1%に相当する金額を毎年受け取り、自分が選んだ非営利団体に寄付ができます。強制することはなく、従業員に選ぶ権利があります。また、特定の非営利団体への寄付を従業員に求めることもありません。
  • キャリア開発。従業員の成功へのコミットメントとは、従業員の成長と発達を支援することを意味します。例えば、当社にはGeneration Veevaという開発プログラムがあります。オンボーディング、統合プロジェクトワーク、ワークショップ、メンターシップ、キャリアパスプランニングなどの支援が充実している環境で、新卒者はキャリア構築に専念できます。このプログラムでは、サービス、エンジニアリング、セールス、コンサルティング、アナリティクスのいずれかを念頭に集中的に研修を受ける機会を提供しています。
  • 従業員へのフィードバックとエンゲージメント。Veevaのマネジャーは、各チームメンバーと年2回のチェックインを実施し、各個人と信頼関係を築き、オープンコミュニケーションを図っています。このチェックインで、マネジャーと従業員は、各々の強み、成長分野、目標、エンゲージメントのレベルについて話し合います。
  • 競業避止義務の禁止。従業員の競業避止義務は、従業員、イノベーション、経済にとっても望ましくありません。当社は世界中のどの国のどの従業員に対しても、競業避止義務の締結を要求していません。また、従業員が選択した場所で働くことが制限されることを防ぐため、競業避止義務の乱用的要求を防止するための法的措置をとっています。
  • 役員報酬。当社の最上級役員はCEOを含め、全員が同じ基本給を受け取っており、その金額は同業他社と比べて控えめな水準に設定されています。さらに、当社の上級役員はみな、現金での賞与やケース・ベースの変動報酬を受ける資格がなく、現在、役員に独自の退職金や支配権の変更に関連する手当を受ける資格はありません。当社の役員報酬は主に株式報酬であり、4年間で権利が確定するストックオプションがかなりの部分を構成しています。当社は、この仕組みがチーム・ファーストの文化を育み、持続可能で耐久性のあるビジネスを生み出すための長期的な思考を促し、株主やその他のステークホルダーの関心と一致すると考えています。
  • 公正な解雇や退職の慣行。Veevaは、従業員の離職プロセスに関して、公正かつ迅速であるように努めています。米国では、離職した従業員が新しい雇用主へ移行する合理的な時間を確保するため、給与と健康保険が継続される標準的な退職期間を設けています。欧州では、欧州全域で標準的な退職条件を提示し、地域のすべての従業員が公平かつ一貫して扱われることを保証しています。

Veevaの核となるバリューは、意思決定を導き、私たちの文化を醸成します。私たちは、お客様、従業員、環境、社会に対する責任を認識し、正しい企業市民として経済界にポジティブな影響を与え、地域社会でも活躍し、企業の模範となるように努めます。
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Veevaでは、従業員に雇用条件として競業避止義務契約の署名を求めることはなく、現在または過去の雇用主との合意によって、有能な候補者の雇用が妨げられることはありません。当社では、競業避止義務は不公正な競争方法であり、競争を抑制し賃金を押し下げ、従業員の権利を侵害し生産性を制限するものであり、個人や競合他社の現実に重大な結果をもたらしていると考えています。また、知的財産を保護するためには不必要であり、雇用市場を狭めるものであると考えております。
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環境に配慮した事業運営を責務として取り組んでいます。2022年、当社は国際標準化機構(ISO)14001認証(環境マネジメントシステム)を取得しました。汚染削減、エネルギーと水の効率的使用、廃棄物の削減に対する当社の取り組みを詳細に調査し、環境サステナビリティ・プログラムの効果をトラッキング、当該環境関連法規による基準以上であることを確認しております。当社の取締役会の監査委員会は、当社の環境マネジメント・プログラムの監視に責任を負っています。




 
Veeva CEO Keynote on Being a PBC