Veeva Japan Blog

ライフサイエンスデータの指数関数的増加を管理する

ライフサイエンスで扱うデータ量は急速に増加し続けており、学術文献は3年ごとに倍増しています。米国大塚製薬社のエビリファイマイサイトのようなデジタル錠剤の臨床試験は、たった1回の臨床試験で、企業がこれまで臨床試験で得たあらゆるデータを凌ぐ量のデータを生成します。大塚ファーマシューティカル社のプレジデント兼CEOであるWilliam Carson博士は、これを「データによる津波」と称しています。ライフサイエンス企業は、このような膨大な量のデータを咀嚼して新たなビジネスの機会に役立てるために、人工知能(AI)にますます頼るようになっています。

しかし、AIの潜在能力を最大限に発揮させるには、企業はまず、適切なデータ基盤を整備する必要があります。ファイザー社は既に重要なステップを踏み出しています。ファイザー社のデジタルソリューションおよびイマージングテクノロジ担当ディレクタであるRandy Zagorin氏は次のように述べています。「お客様が次に取るべき行動を最適化し、よりインテリジェントな顧客エンゲージメントにつながるインサイトを得るのに、AIには大きく期待しています。これまでの古い世界では、営業チームは、4つのメッセージがあったら、順番を気にせずに全て医師に送っていました。今や、医師たちの対応履歴や、同様の医師たちがどのような電子メールを最も頻繁に開いているかを見て、医師ひとりひとりに対して、どのような順番でメールを送れば最も高い確率で読んでもらえるかを予測しています。これは確かに効果的で、メールによるコミュニケーションの有効性が向上することが分かっています。」

新規治療薬を商品化する業界に注目したとき、次世代のデータウェアハウスでデータを管理する際に考慮すべき重要事項をいくつか示します。

AIでの利用を想定し整理されたデータ
ライフサイエンス企業は、申請データ・CRM・コンテンツ・処方箋・フォーミュラリー・販売をはじめとして、多数のデータソースを扱います。これらのデータはすべて、AIが理解できるように定期的に標準的な方法でクレンジングや整備をしなければなりません。これまで、標準的な統合を行う業界用のデータモデルは存在せず、企業はカスタムソリューションに頼らざるを得ませんでした。Intra-Cellular Therapies社のヴァイスプレジデント兼CIOでエーザイ社の前IT担当ヴァイスプレジデントであるDan Utzinger氏は次のように述べています。「カスタムデータウェアハウスは本質的に柔軟性がありません。そのため、新しいデータソースが追加されたり、システムが変更されたりするたびに、重要な質問への回答を得るのに数週間かかることもあります。」業界が必要としているのは、重要なデータソースをすべて一様に結びつけて整理してくれる標準データモデルを備えた次世代のデータ基盤です。

標準的な統合により情報の流れを確実にする

コマーシャルデータ基盤は、他のシステムと同期を保ち、増え続けるデータだけでなく、さまざまなソースを管理する必要があります。しかし、データソースやデータ構造は絶えず変化するので、つながりのない情報がシステム間を流れる原因となります。ライフサイエンスに特化したデータ基盤を用いれば、カスタムデータウェアハウスにつきものの統合問題が解決されます。CRMやコンテンツ管理などのダウンストリームシステムをシームレスに統合することが可能で、顧客アクティビティやコンテンツ使用情報は確実にデータウェアハウスに自動的に同期されます。データを標準的に統合することで、データ変更が起こっても、どのような頻度や速度であれ、柔軟に適応することができ、進化するビジネス要件に対応するのに役立ちます。Veevaのコマーシャルストラテジー担当シニアディレクターであるAndy Fuchsは次のように述べています。「企業はもはや、データを手作業で同期させる心配をする必要はありません。企業はAIツールが適切なデータに効率的にアクセスできるように、データ基盤の改良に専念できます。」

次世代のデータ基盤とはどのようなものか

ライフサイエンス企業は、さまざまなデータソースからウェアハウスにデータが一貫して流れ、自動的に適切に整理されていることに確信をもつ必要があります。カスタムデータウェアハウスではライフサイエンス情報が管理できませんでしたが、次世代のコマーシャルデータ基盤は違います。

  • 標準の業界データモデルに加えて、ライフサイエンス業界独特のニーズに合わせてカスタマイズされている。
  • データソースとデータ基盤の間でデータが自動的に同期されるように、適応性のある設計を採用している。
  • クラウドによって、ペタバイト規模のストレージと無限のスケーラビリティが実現され、データセットが指数関数的に増大しても優れたパフォーマンスが保証される。

Veeva Nitroのような業界特化型の次世代コマーシャルデータ基盤を用いれば、科学的データや学術データの急速な増大に企業は迅速に対応でき、組織全体でより優れたインテリジェンスを活用できるようになります。世界中で、数多くのライフサイエンス企業が既に導入し、ビジネスインサイトをより迅速に引き出すために使用しています。詳細については、VeevaのCEOで創業者であるPeter Gassnerが、ライフサイエンス業界のデータマネジメントの課題に対する、より優れた対処方法について説明しているのでご覧ください。