Veeva Japan Blog

31倍に増加したニューノーマルに求められるMR活動とは

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、これまでの働き方に大きな変化をもたらした。その顕著な例が、インターネットを活用したリモートミーティングの急増。変化を物語る証拠として、Veeva Japan 社(以下、Veeva社)では興味深い数字を公開している。それは、Veeva CRM各ツールの使用実績のレポート。例えば、今年の1月と5月の比較によれば、MRの訪問による面談は80%減となった。その一方で、Emailの送付は3.5倍に、Engage Meetingによるリモートミーティングは、実に31倍に急増している。
コロナ禍による働き方の変化は、MRの活動にも影響を与えている。感染リスクを低減するために、MRは医療機関への訪問を控え、オンラインでの活動を加速している。これまで、医師への情報提供には、訪問などのリアルチャネルと、ウェブサイトを活用したオンラインチャネルが活用されてきた。しかし、現在では実訪問やウェブサイト誘導に代わる、新たな医師への情報ニーズを満たす取り組みが急務となっている。ニューノーマルにおけるMR活動の最前線をVeeva CRM Engage Meetingによるリモートディテールの活用例から探っていこう。

リモートディテーリングの実施と活動報告を可能にするVeeva CRM Engage Meeting

緊急事態宣言は解除になっても、首都圏を中心に第二波の感染拡大が懸念され、現在でもMRの訪問は規制または自粛されている。その結果、オンラインによるリモートディテーリングの活用が広がっている。Veeva社では、2016年からオンラインでのMR活動をサポートするVeeva CRM Engage Meetingを提供してきたが、日本でも新型コロナウイルスの影響により、その利用が急拡大している。同社の調査によれば、図のように自粛要請が発令されたあと、対面訪問が約8割減ったのに対して、Veeva CRM Engage Meetingによるリモートディテーリングは、約31倍に急増している。オンラインへの移行により、平均的なリモートディテーリングの時間も18分となっている。訪問による面談と比較して、オンラインの方が医師とMRの共有する時間が増えている。診療の合間にタブレットやノートPCの画面を開いて説明していた訪問活動に比べ、リモートディテーリングの方が医師との時間を有効に活用できる可能性が窺い知れる。また、Veeva CRM Engage Meetingでは、MRと医師が1対1でリモートディテーリングを行うだけではなく、複数のMRと複数の医師が同時にオンラインで参加できる。これまで、時間や場所の調整に苦労していた他対他のリモートインターラクションも、短期間に手早く調整して実施できるようになる。
新型コロナ禍以降の「新しい生活様式(ニューノーマル)」は、MR活動に大きな影響をもたらしたが、Face to Faceでの面談が困難な状況下でも、Veeva社は、Veeva CRM Engage Meetingを通して、製薬企業の情報提供を支援していく考えだ。その具体的な仕組みは、図のようなイメージとなる。インターネットを介してMRと医療従事者が結ばれ、互いに顔を見て会話しながらMRの提供するコンテンツを閲覧できる。

文字が中心のメールと比べて、リモートディテーリングは対面に近い感覚で互いの意思疎通が可能で、コンテンツの閲覧も容易になる。そのため、Veeva社の調査でも、2つのデジタルエンゲージメントの増加傾向には、大きな差がある。こうした変化は一過性のものではなく、 ニューノーマル時代の新しいMR活動だと考えられる。

ワンストップでミーティングの予約から招待メール発送に開催まで管理

Veeva CRM Engage Meetingによるリモートディテーリングは、オンラインならではの手間や煩雑さを軽減し、MR活動に集中できるワンストップの利便性を提供している。例えば、一般的なビジネスツールによるオンライン会議では、グループウェアやスケジュール管理ツールなどを使って、参加者の予定を調整する。日程が決まったら、オンライン会議ツールに開催予定を登録し、その参加アドレス(URL)を各参加者にメールで通達する。これだけの準備に、少なくとも3つの異なるツールを使い分けなければならない。それに対して、リモートディテーリングに必要なツールをワンストップで提供するVeeva CRM Engage Meetingでは、すべての機能がCRMに包括されている。そのおかげで、スケジューリングに開催日時の登録とメール通知まで、単一の画面から操作できる。リモートディテーリングの回数や担当先が増えてくると、一連の作業をワンストップで処理できるかどうかは、日々の業務効率やMR活動の生産性にも大きく影響してくる。加えて、販売情報提供活動ガイドラインの逸脱行為が起こる可能性が極めて低いコンテンツ管理(CLM)も、コンプライアンスの維持に欠かせない。このコンプライアンスについては、次回で詳しく解説する。

顔と資材を同時に見てもらえるリモートディテーリング

ニューノーマル時代となっても、長年にわたって訪問による面談を重ねてきたMRは、オンラインでは医師の要望や考えを汲み取りにくいと考えがちだ。しかし、Veeva CRM Engage Meetingでは、そうした不安を払拭するために、CLMの利用中でも医師の表情が確かめられる。この「常時ビデオ表示」という機能は、日本のVeeva CRM Engage Meeting利用者から寄せられた要望が反映されたもの。新型コロナ禍以前から、リモートディテーリングを積極的に活用してきた国内MRからのリクエストによる改善は、対面を超えるMR活動に貢献している。

顔と資材を同時に見てもらえるリモートディテーリングにより、MRと医師が共有する時間は長くなっている。Veeva社の調査によれば、対面の2分に対してVeeva CRM Engage Meetingは17分に及ぶ。特定の病理分野においては、30分という実績もある。

医療部門と新型コロナウイルスの戦いは、まだ始まったばかりだ。ワクチンや特効薬が開発されるまで、しばらくはニューノーマルに合わせたMR活動が中心になる。しかし、リモートディテーリングに代表されるMR活動は、製薬業界におけるデジタル変革の第一歩だとも捉えられる。厳しい時代だからこそ、その災禍を知恵とテクノロジーで克服する取り組みが、次の時代の成長への糧となっている。